狂犬病について

狂犬病についての知識

狂犬病はどんな病気ですか。人にも感染しますか?
狂犬病は狂犬病ウィルスによって起こる、すべての哺乳動物に感染する恐ろしい伝染病です。ですから人も例外ではありません。ウィルスが体内に入り発症するとほぼ100%死亡します。現代医学でも救命率を上げる治療法はありません。人の劇症肝炎でも高度医療で救命率が30%位あることと比べると狂犬病がいかに恐ろしい病気か判ります。またこの病気は世界的な感染症です。
人にはどのように感染しますか?
狂犬病に感染した動物に咬まれたり、傷口を舐められたりすることが主ですが、まれに息を吹きかけられただけで感染した事例もあります。
どのような動物に注意した方がよいですか?
すべて可能性があります。しかし主な感染動物は、地域によって異なります。
アジア / アフリカ犬・猫
アメリカ / ヨ-ロッパキツネ・アライグマ・スカンク・コウモリ・犬・猫
中南米犬・猫・コウモリ・マング-ス
狂犬病が発生していない国(清浄国)は何処ですか?
rabies_img1図の赤字は2013年7月現在、農林水産大臣が指定している狂犬病の清浄国・地域です。
赤字でも黒の二重線の国・地域は、以前は狂犬病清浄国と指定されていましたが、現在は指定地域から削除された地域です(現在、狂犬病は発生していないが、今後発生が予想される地域も含まれています)。
2013年7月現在、アイスランド、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー諸島、ハワイ、グアムの6地域が狂犬病の清浄国・地域として指定されています。
世界的にどれくらいの人が狂犬病でなくなられてますか?
世界保健機構(WHO)によりますと、年間5万人が亡くなられています。このうち3万人はアジア地域で発生しています。参考までに今人々に恐れられている、鳥インフルエンザですが2011年8月現在、2003年からの合計死者数は330人です。一概に比べることは出来ませんが、年間5万人の死者を出す感染症にもっと注意を払うべきではないでしょうか。
狂犬病に感染した犬はどのような症状になりますか?
狂暴になり、何にで咬みつこうとするタイプと、体が麻痺して自由に動かなくなるタイプがあります。喉の筋肉の痙攣は特徴的で、喉が渇いているのに水を飲み込めなくなります。このため水を怖がるようになり恐水症とも呼ばれます。
人が狂犬病に感染したらどのような症状になりますか?
最初の症状は、咬まれた部位の疼痛や知覚異常があり、発熱、頭痛、筋肉痛などが発現します。その後強い不安、精神的動揺、異常行動、見当識障害、幻覚などが現れます。約60%の患者に喉の激しい痙攣が起こります(恐水症)。最後は昏睡状態に陥り死亡します。
狂犬病は日本で発生していますか?
国内では昭和32年から人と動物に発生がありません。これは地道な野犬狩りや、予防注射の普及のためと考えられます。ところが現在予防注射の普及率が下がっており、再び狂犬病が発生しないか専門家の間では危惧されております。そんな折、平成18年にフィリピンからの帰国者で日本で狂犬病発症者が出たのは、1つの契機になる可能性があります。
狂犬病を発症した場合に治療法はありますか?
狂犬病を発症した場合、残念ながら治す方法がありません。病魔にむしばまれていく経過を見守るしかありません。ただ幸い狂犬病は発症するのに時間がかかることから、咬まれてからワクチンを打っても効くことが多いです。(暴露後ワクチンと言います)
狂犬病に感染してから発症するまでどれくらい期間がかかりますか?
一般的に1カ月から3ヶ月かかると言われています(潜伏期)、しかし7-8%は1年以上かかることがあるとも言われています。咬まれた所が脳に遠いほど発症は遅いとも言われています。
自分が狂犬病に感染しているかどうか判る診断方法はありますか?
咬んだ犬がその後数週間以内に狂犬病の症状を示さない場合、感染の可能性が少ないと判断できますが、自分のからだを調べて、感染初期に診断することは極めて困難です。すなわちウィルスの検出も抗体の検出も極めて困難と言うことです。
狂犬病はどれくらい昔からあったのですか?
はっきりしたことは判りませんが、古い文献によりますと紀元前23世紀の古代メソポタミアの記載に、狂犬の管理不行き届きで、他人を死に至らしめたときには罰金が科されました。紀元前4-5世紀、ギリシャのヒポクラテスは狂犬の唾液が人間にかかってから、1年後に発症する事に言及しています。現在と同じ狂犬病ウィルスかどうかは定かではありませんが、近縁のウィルスは紀元前の昔からあったことが考えられます。
犬を飼うときにしなければいけない手続きは何ですか?
日本には狂犬病予防法という法律があります。生後91日以上たった犬は市町村に届けを出さなければなりません。(所有してから30日以内に)また、狂犬病予防注射を犬に受けさせ、注射済票の交付を受けます。登録時にもらう鑑札と注射済票は首輪に付けておかなければいけません。
なぜ犬を登録しなければいけないのですか?
狂犬病はすべての哺乳類に感染しますが、人への感染源になる動物は犬が最も可能性があります。万が一日本で狂犬病が発生した場合に素早い対応が出来るように、日頃から飼い犬がどこに何頭いるか把握する必要があります。
なぜ狂犬病予防注射を受けさせなければいけないのですか?
万が一日本に狂犬病が入った時に感染源として最も重要なのは犬です。もし日本の犬に狂犬病の抗体がない場合、咬んだり舐め合ったりして、唾液を介して次々に広がる可能性があります。犬の間に抗体があればこの広がりを押さえることが出来ます。
飼い犬が登録や予防注射を受けていない場合飼い主はどうなりますか?
20万円以下の罰金が科される事になります。